違法な長時間労働が多すぎる!
前回の記事「違法な長時間労働ってどれくらい?」で長時間労働のことを書きましたが、今日はそれに関係するニュースがあったので紹介します。
先日のNHKのニュースです。
以下のようなニュースです。
会社から長時間労働を強いられている労働者はたくさんいます。
4割超の事業所で違法な長時間労働 厚労省
厚生労働省が長時間労働の問題で去年4月から半年間に立ち入り調査を行った事業所のうち、4割以上で違法な長時間労働が行われていたことがわかりました。
厚生労働省は長時間労働への対策として去年4月以降、事業所に立ち入り調査する基準を月100時間の残業から80時間に引き下げて監督を強化していて、去年4月から9月までの半年間に前の年の同じ期間のおよそ2倍にあたる1万59か所の事業所を調査しました。
その結果、44%にあたる4416か所で労使協定の上限を超える違法な長時間労働が行われていたことがわかりました。また、従業員に健康診断などを行っていない事業所は1043か所、残業代の未払いも637か所に上るなど全体の6割以上の事業所が労働基準法などに違反し、是正勧告を受けました。
厚生労働省では「今後も長時間労働の是正に向けて監督指導を徹底したい」としています。
掲載元 : NHK NEWS WEB 1月18日 5時18分
いかがですか?
ブラック企業が多すぎますね。
1万59カ所の事業所を調査した結果…
4416カ所で違法な長時間労働が行われていて、
637カ所で残業代が支払われていない…
そして、最低でも年に一度は行わないといけない健康診断を…
1043カ所で行われていない…
※深夜業、有害な環境で働く労働者は、半年に1回の健康診断
かなりの数の労働者が被害に遭っているということになります。
それなのに是正勧告だけとは…。
是正勧告だけだから、多くの事業所が平然と労働基準法を違反しているのだと思います。
実際はもっと多いのでは…
あと、前回の記事でも書きましたが、36協定を結んでいても限度時間が決められています。
法定外労働時間の限度
法定労働時間(1日8時間・1週間40時間)を超えて労働時間を延長できる限度は以下の通りです。
一般の労働者と変形労働時間制の労働者では限度時間が変わります。◆一般の労働者
1週間 : 15時間
2週間 : 27時間
4週間 : 43時間
1ヵ月 : 45時間
2ヵ月 : 81時間
3ヵ月:120時間
1年間:360時間◆1年単位の変形労働時間制の労働者
1週間 : 14時間
2週間 : 25時間
4週間 : 40時間
1ヵ月 : 42時間
2ヵ月 : 75時間
3ヵ月:110時間
1年間:320時間
会社が36協定を届け出ていてもこの時間を超えて労働者を働かせることは出来ません。しかし、この限度時間には例外があります。
以下のような理由がある場合、どうしても限度時間を超えてしまうことがあります。
- 予算、決算業務
- ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
- 納期のひっ迫
- 大規模なクレームへの対応
- 機械のトラブルへの対応
こういった場合、「特別条項付の36協定届」の届け出をすることで、全体として1年の半分を超えなければ、限度時間を超えた延長をすることができます。詳しくは → 厚生労働省「時間外労働の限度に関する基準」
このような決まりがあるのですが、このニュースによると「事業所に立ち入り調査する基準を月100時間の残業から80時間に引き下げて監督を強化」となっています。
調査する基準を月80時間ではなく時間外労働の限度時間でもある月45時間に引き下げたりしたら、もっと多くの会社(事業所)が引っかかるでしょう。
あと、月80時間の時間外労働というのは、過労死ラインとされている時間でもあります。
過労死ライン
過労死ラインという言葉を聞いたことありませんか?
月80時間の時間外労働が過労死ラインといわれています。
厚生労働省の通達『脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について』(平成13年12月12日付け基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)に労災と認められる時間外労働の基準が以下のように記載されています。
- 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
- 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる
過労死した場合、長時間労働はこの基準に沿って労災かどうか判断されます。
月80時間の時間外労働とはわかりやすく例にすると…
月曜日から金曜日まで、毎日4時間の残業。土日は休み。
これでだいたい月80時間の時間外労働になります。
意外と少ないと感じていませんか?
そう思う方は、要注意です。
あなたは「土日はきちんと休みをくれるけど、平日は忙しくて朝早く出勤し、終電で帰っている」というような働き方になってませんか?
このような働き方の労働者は、世の中にたくさんいます。
誰もがいつ過労死してもおかしくないのかもしれません。
私も長時間労働していました
現在、私は労災認定されて、社会復帰を目指してリハビリや療養に専念しています。
私が会社に勤めていた当時は月100?120時間以上の長時間労働がありました。
労災認定されましたが、会社には罰則などありませんでした。
労働基準監督署から是正勧告は受けたようですが…。
違法な長時間労働で苦しんでいる労働者を減らすためにも国には罰則を厳しくすることを考えてもらいたいですね。
新しい法律が出来るようです
こういったことを考えていたら、22日に以下のようなニュースがありました。
長時間労働規制「今国会で結論」=二階自民幹事長
自民党の二階俊博幹事長は22日のNHK討論番組で、働き方改革のうち長時間労働を規制する法整備について、「今国会最大の重要な問題だ。今国会で必ず結論を得るようにもっていきたい」と述べた。政府が関連法案を提出するとの見方を示したものだ。
長時間労働の防止をめぐっては、民進など野党4党が労働時間の延長に上限を設けることなどを定めた法案をすでに提出している。民進党の野田佳彦幹事長は同番組で、「過労死の問題は一日も早く対応すべきだ。われわれの法案を土台にして議論を進めたらいい」と審議を求めた。
どのような法整備がされるのか期待したいですね。
私としては、罰則を厳しくしてもらいたいです。
過去に飲酒運転の罰則を厳しくしたように長時間労働の問題も厳しくして頂きたいです。
今後、長時間労働で苦しむ労働者が減ることを強く願います。
今日はここまでにします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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少しでも悩んでいる人の役に立てれば幸いです。
今回は、ここまでにします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。