有給休暇について詳しくなろう②
前回「有給休暇について詳しくなろう①」の続きです。
今回は、有給休暇の取得について考えてみたいと思います。
有給休暇の時季指定権
労働基準法では、有給休暇について以下のように記されています。
「有給休暇は、労働者が請求する時季に与えなければならない」
この様に使用者は、労働者が指定した時季に有給休暇を与えないといけません。
これを時季指定権といいます。(労働基準法39条5項)
つまり、労働者が有給休暇を取得したいと思った時季に有給休暇を与えないといけないのです。
有給休暇の時季変更権
有給休暇は労働者の指定した時季に取得することができると説明しました。
しかし、年末年始の忙しいときに一度に多数の労働者が休んだりすると事業の運営に支障が出る場合があります。
このようなときに会社は、時期を変更することが出来る権利があります。
この権利を時季変更権といいます。
会社は、事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季にこれを与えることが出来ます。(労働基準法39条5項)
しかし、単に業務が多忙という理由だけでは行使はできません。
代替勤務者の確保や勤務割を変更するなどの努力しないで、時季変更権の行使は出来ません。
時季変更権を行使できるかどうかは、事業所ごとに判断することになりますが、「事業の正常な運営を妨げる場合」でなくなった後には、出来る限り速やかに休暇を与えなければなりません。
■解雇予定日を超えて時季変更権を行使することは出来ません。
例えば、解雇予定日が20日後である労働者の有休が20日残っていた場合、その20日分の有休を使いたいといった場合、時季変更権を行使することは出来ません。
有給休暇の買い上げ予約は違法です。
会社が有給休暇を買い上げる約束をして、有給休暇の日数を減らしたり、有給休暇を与えないようにすることは労働基準法違反になります。
「有休が取れない分、金をあげるから、その分働け!」といって有休休暇を取らせないという会社があるそうですが、そういう行為は違法です。
不利益扱いの禁止
有給休暇を取得した労働者に対して不利益な取り扱いをしてはいけません。
有給休暇を多く取るからといって、欠勤扱いにしたり、皆勤手当を支払わなかったり、賞与の査定で低くするなどしてはいけません。
また有給休暇を取得しない労働者を賞与の査定で有利に扱うこともしてはいけません。
有給休暇の利用目的
有給休暇をどのように利用するかは、労働者の自由ですので、本来であれば、会社に休む理由をいうことなく休めることになっています。
会社が有休の取得理由を聞いてきて、「そんな理由だったら、有給休暇の使用は認められないよ。」といって、有給休暇を取得させてもらえない会社があるそうですが、その様な場合は会社側が間違っています。
日本の有給休暇の取得率は低い!?
厚生労働省が11月中旬に「就労条件総合調査」の結果を公表しました。
2013年の労働者の「有給休暇」の取得率は、48.8%でした。
ここ5年の有給休暇の取得率はいずれも50%を切っています。
政府は2020年までに有休取得率を70%にすることを目標にかかげています。
あなたは、有給休暇を取得できていますか?
日本の有休取得率は世界でも最下位!?
最後に、エクスペディアに興味深いグラフがありましたのでご紹介します。
有給休暇の支給日数は、他国に比べて悪くないんですが、消化率が低い!
消化していない有給休暇が多いんですね。
それにしても世界ワースト1位は悲しい結果です。
有給休暇を1つも消化していない人の割合ですが、これも世界ワースト1位で悲しい結果です。
最後に仕事の満足度ですが、これもワースト1位ですね。
これだけ働いているのに仕事に満足している人が少ないことになります。
※世界最大のオンライン旅行会社、Expedia Inc.(本社:米ワシントン州)の日本語サイトエクスペディアジャパン(www.expedia.co.jp)は、毎年恒例の有給休暇・国際比較調査を行いました。24ヶ国の、18歳以上の有職者男女を対象とし、2013年8月~9月に調査を実施いたしました。
まとめ
2回に渡って、有給休暇について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
意外と有給休暇のことについて知らない人が多いので書いていました。
有給休暇について詳しくなって、労働者の権利を行使していきましょう。
まだまだ、日本では休むことについてよく思われない風潮がありますが、有給休暇を取得することは、悪いことをしている訳ではありません。
正当な権利なので、有給休暇を活用して、充実した人生を送りましょう!
今回は、ここまでにします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
【次回】
次回は、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」について書いていきます。
個別労働紛争が増えています。
そのために出来た法律です。
>次 (どんな法律なの?)
>戻る (個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律)