残業(時間外労働)について詳しくなろう②
前回の記事「残業(時間外労働)について詳しくなろう①」の続きです。
今回は、残業(時間外労働)をした場合の賃金について書きます。
残業代も労働基準法で決められています
残業した場合、残業代が発生する訳ですが、決まった率で支払うことが決められています。
残業が法定労働時間を超えた場合は、割増賃金が発生します。
その割増賃金にも決まりがあります。
きちんとした会社に勤務している人は知っているかと思いますが、意外と知らない人が多いのです。
割増賃金率は時間外労働は2割5分以上、休日労働は3割5分以上
使用者は、法定労働時間を延長し、または法定休日に労働者を労働させた場合においては、その時間またはその日については、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める定率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。(法37条1項)
つまり、割増賃金率は、
法定労働時間を超える労働(時間外労働)をさせた場合は2割5分以上、
法定休日に労働(休日労働)をさせた場合は3割5分以上
とされています。
割増賃金の対象となる労働
割増賃金の対象となるのは、どのような場合なのでしょうか?
割増賃金の対象となる労働はいくつかあります。
割増賃金率とともに順番に紹介します。
1.法定労働時間を超える労働
原則1日8時間、週40時間を超える労働に対しては、2割5分以上の割増賃金が必要
【例】
所定労働時間が1日7時間(9時~17時・休憩1時間)と定められている場合、8時間の労働をさせたとしても法定労働時間を超えているわけではないので、残業代は発生しますが、割増賃金を支払う必要はありません。
しかし、月曜日から金曜日までの5日間1日8時間の労働をし、土曜日に3時間の労働を行っている場合、週43時間の労働となり、3時間分の割増賃金の支払い義務が生じます。
※時間外労働(3時間)の部分においては、割増賃金(2割5分以上)の支払いが必要となります。法定内の時間外労働(1時間)については割増なしの通常の賃金の支払い(時給)で問題ありません。
2.法定の休日における労働
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。(法35条1項)
法定の休日に労働させた場合、3割5分以上の割増賃金の支払いが必要になります。
【例】
週休2日制を採用している職場で2日のうちどちらかの休日(所定休日)に労働させた場合には、割増賃金の対象とはなりません。
しかし、職場の所定労働時間が1日8時間×5日で計40時間であるとすると、休日の労働分は法定労働時間である週40日を超えることになりますので、その超える部分については時間外労働の扱いとなり、2割5分以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要となります。
休日の2日とも労働させた場合は1日のみが3割5分以上の率で計算した割増賃金の支払いとなります。
3.深夜労働
深夜は2割5分以上、時間外深夜は5割以上、休日深夜は6割以上
使用者が、午後10時から午前5時までの間に労働させた場合においては、その時間の労働については通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。(法37条4項)
【例】
時間外労働が深夜に及んだ場合は、5割以上の率、休日労働が深夜に及んだ場合は、6割以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要です。
割増賃金率のまとめ
長々と書いてきましたが、いかがだったでしょうか?
少しわかりにくいところもあったかもしれませんが、お許し下さい。
割増賃金率に関しては、ややこしいので、表にしてまとめてみました。
実際に残業した場合、どんな感じになるのか、簡単な計算をしてみましょう。
月給14万円の場合
1ヵ月の労働日数20日だった場合・・・、
14万円 ÷ 20日 = 日給7千円
1日の所定労働時間が7時間だった場合・・・、
日給7千円 ÷ 7時間 = 時給1000円
- 法定の8時間を超えて残業をした場合、残業した時間は、時給1250円以上もらえます。
- 休日出勤を頼まれた場合は、時給1350円以上もらえます。
- 残業が午後10時を超えてしまった場合は、超えた時間に関しては、時給1500円以上もらえます。
- 休日で深夜に仕事を頼まれ午後10時を超えた場合は、時給1600円以上もらえます。
あなたは残業代をきちんと支払われていますか?
あなたの会社では、きちんと残業代が支払われていますか?
支払われていない場合は、会社に請求することが出来ます。
また、支払われていたとしても割増賃金率より低い金額だった場合も会社に請求することが出来ます。
請求することが出来るのですが、時効があって時効は2年間です。
2年を超えると権利が消失してしまいます。
しかし、いきなりそんな訴えをおこすことも難しいですからね。
会社を辞める決心をした人が訴えることが多いようですね。
◆こちらの記事で未払い残業代について書いています。
未払い残業代を請求する
未払い残業代を請求しよう!
今回は、ここまでにします。
長々と2回に分けて、時間外労働のことについて書いてきましたがいかがだったでしょうか?
少しでも労働基準法をわかってもらえればと思って書きました。
労働基準法を理解することによって、あなたの会社がどういった会社かわかるかと思います。
また、何かあった場合に自分自身の身を守ることが出来ます。
私も戦っている最中です。
お互いに頑張っていきましょう!
今回は、ここまでにします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
【次回】
次回は、有給休暇について書いていきます。
有給休暇は、会社からもらえるのではなく、労働者の権利です。
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