平成27年度「過労死等の労災補償状況」を見てみよう
12月に入り、ずいぶんと寒くなってきましたね。
朝、布団から出るのが嫌になってきてるのではないでしょうか?
私も体調が良くないというのもありますが、なかなか布団から出れません。
今日は厚生労働省から公表された
平成27年度「過労死等の労災補償状況」
を紹介します。
それでは見てみましょう!
この資料は今年の6月に厚生労働省から公表されました。
掲載元 : 厚生労働省HP “平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表”
平成27年度「過労死等の労災補償状況」
- 厚生労働省は平成28年6月24日、平成27年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ公表しました。
- ここでの「過労死等」とは、
業務における過重な負荷、強い心理的負荷を原因とする
「脳血管疾患、心臓疾患、精神障害」
これらの疾患や障害、そしてこれらを原因とした死亡、自殺などのことをいいます。 - 厚生労働省では、業務が原因で発症した脳・心臓疾患、精神障害の状況について、平成14年から、労災請求(労災申請)件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定(労災認定)件数などを年1回、取りまとめています。
- 支給決定(労災認定)件数は、平成27年度中に「業務上」と認定した件数で、平成27年度以前に請求があったものを含みます。
労災補償状況
精神障害、脳血管疾患、心臓疾患の労災補償状況を見て見ましょう。
精神障害、脳血管疾患、心臓疾患の労災請求(労災申請)の件数はいずれも増加しています。
最近は、テレビや新聞などでも支給決定(労災認定)されたニュースが流れていますので精神障害の労災に対して認識されている方が増えているように思います。
そういったこともあり労災請求(労災申請)される方が増えていると考えられます。
しかし、精神障害、脳血管疾患、心臓疾患のいずれも支給決定(労災認定)の件数は減少しています。
一般的に「労災認定は難しい」と言われていますが、こういった数字が物語っていますね。
それぞれ細かく見てみましょう!
精神障害に関する事案の労災補償状況
- 労災請求(労災申請)件数は 1,515 件で前年度より59件の増となっています。
- 労災請求(労災申請)件数のうち未遂を含む自殺の件数は前年度より14件減の199件となっています。
- 支給決定(労災認定)件数は 472 件で前年度より25件の減となっています。
- 支給決定(労災認定)件数うち未遂を含む自殺の件数も前年度より6件減の93件となっています。
- 労災請求(労災申請)件数は前年(平成26年)より増え過去最多となっています。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
- 労災請求(労災申請)件数は795 件で、前年度より32件の増となっています。
- 支給決定(労災認定)件数は251件で前年度より26件の減となり、うち死亡件数も 前年度より25件減の96件となっています。
年齢別 請求、決定および支給決定件数
年齢別に見ると精神障害と脳血管疾患・心臓疾患では違った結果となっています。
それぞれ見てみましょう。
精神障害の年齢別 請求、決定および支給決定件数
- 年齢別では、労災請求(労災申請)件数は「40 ~49 歳」が459 件、「30 ~39歳」が419 件、「50 ~59歳」が 287件の順に多くなっています。
- 支給決定(労災認定)件数は「40~49歳」が147件、「30~39歳」が137件、「20~29歳」が87件の順に多くなっています。
精神障害では、40代(40~49歳)が労災請求(労災申請)、支給決定(労災認定)ともに最も多くなっています。
40代といえば、働き盛りの年代ともいえますが、責任や業務の負担も増えていく年代でもあります。
最もストレスを感じている年代であるといえます。
脳・心臓疾患の年齢別 請求、決定および支給決定件数
脳血管疾患・心臓疾患では、50代(50?59歳)が労災請求(労災申請)、支給決定(労災認定)ともに最も多くなっています。
疾患として若い年齢ではかかりにくい疾患でもあるので29歳以下では極端に少なくなっています。
時間外労働時間数(1か月平均)別支給決定件数
支給決定(労災認定)された時間外労働時間数ですが、これも精神障害と脳・心臓疾患では違った結果となっています。
やはり業務の過重な負荷という意味では、月100時間以上の時間外労働を強いられている方が支給決定(労災認定)されているようです。
精神障害の時間外労働時間数(1か月平均)別支給決定件数
- 精神障害での時間外労働の時間数(1か月平均)別の支給決定(労災認定)件数は、「20時間未満」が86件で最も多くなっています。
- 「100時間以上」の合計件数は172件でした。
脳・心臓疾患の時間外労働時間数(1か月平均)別支給決定件数
- 脳血管疾患・心臓疾患での1か月平均の時間外労働時間数別の支給決定(労災認定)件数は、「80時間以上~100時間未満」が105件で最も多くなっています。
- 「100時間以上」の合計件数は120件となっています。
精神障害の出来事別支給および支給決定件数
- 精神障害の出来事別の支給決定(労災認定)件数は、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が75件で最も多い出来事となっています。
- 「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が60件で2番目に多くなっています。
まとめ
平成27年の過労死等の労災補償状況の一部を見てみましたがいかがだったでしょうか?
厚生労働省HPには、ここにあげた集計結果以外にも職業別、職種別などの集計結果が掲載されていますので興味がある方は、厚生労働省HPをご覧下さい。
掲載元 : 厚生労働省HP “平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表”
今回、取り上げた集計結果ですが、実際の職場ではもっとたくさんの労働災害が起きています。
この集計結果は、労災請求(労災申請)の件数と支給決定(労災認定)の件数です。
職場でのパワハラ等でうつ病等の精神障害を発症したのに労災請求(労災申請)せずに我慢されている方、または精神障害の労災請求(労災申請)のことを認識されていない方もたくさんいるはずです。
職場で嫌がらせ等で精神障害になるというのは、絶対に会社側が悪い訳ですから、我慢する必要もないです。
この集計結果を見ていて、私自身が労災申請した当時のことを思い出しました
私自身も40代になってから元勤務先とトラブルになり、うつ病を発症しました。
うつ病を発症した当時は時間外労働が毎月のように100時間以上ありました。
家に帰るのが遅くなり、ゆっくり休める時間もありませんでした。
職場では、パワハラ、嫌がらせを受け、そのうち仕事を取り上げられました。
最後には独り部屋に入れられ、孤立させられました。
社長だけでなく従業員からも無視されるようになりました。
もうあの当時には絶対に戻りたありません。
労災申請を検討されている方は…
今回、この集計結果をじっくりと見たら、私自身ほとんどの上位項目に当てはまっていました。
私が労災認定されたのも納得がいきます。
そう考えるとこの集計結果の上位項目に該当するような状況にある方は、労災認定される可能性が高いといえるでしょう。
もし、あなたが労災請求(労災申請)を検討されているなら、この集計結果を参考にされてはいかがでしょうか?
今回は、ここまでにします。
最後まで読んで頂きありがとうございます。