精神障害の労災について
今回は、前回の記事「傷病手当金と労災認定について」の続きです。
労災認定について詳しく見て行きましょう!
前回の記事で認められるのが難しいとお伝えしましたが、認められるにはどうすれば良いか見てみましょう!
精神障害の考え方
精神障害は、仕事によるストレスと私生活からのストレスに個人の対応力の強さとの関係で発症すると考えられています。
上の図にあるように「業務での心理的負荷」、「業務外の心理的負荷」、「個体側要因」が原因で精神障害になると考えられているのですが、労災では、何が原因で発症したのかを慎重に判断していくことになります。
精神障害の労災認定要件
労災を認定するための要件は次の通りとなっています。
上記の認定要件の①~③をそれぞれ見てみましょう。
①認定基準の対象となる精神障害かどうか
認定基準の対象となる精神障害は、【国際疾病分類第10回修正版(ICD-10)第Ⅴ章「精神および行動の障害」】で分類されている精神障害です。
以下の表になります。
この表の認知症や頭部外傷などによる障害(F0)、アルコールや薬物による障害(F1)は除きます。
業務に関連して発症する可能性のある精神障害の代表的なものは、うつ病(F3)や急性ストレス反応(F4)などになります。
②業務による強い心理的負担が認められるかどうか
労働基準監督署の調査に基づき、発病前の6ヵ月の間に起きた業務による出来事について、「業務による心理的負荷評価表」により「強」と評価される場合、認定要件の②を満たします。
※「業務による心理的負担評価表」については、こちら → 1 ・ 2
画像が小さい場合はクリックして下さい。
この表に「具体的出来事」を当てはめ、心理的負荷の評価を行なっていきます。
出来事が複数ある場合は、それぞれの出来事で判断します。
- 複数の出来事が関連して生じた場合は、その全体を1つの出来事として評価します。
- 関連しない出来事が複数生じた場合は、出来事の数、それぞれの出来事の内容、時間的な近接の程度を考慮して全体の評価をします。
③長時間労働がある場合の評価方法
1.「特別な出来事」としての「極度の長時間労働」
発病直前の極めて長い労働時間を評価します。
【「強」になる例】
- 発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行なった場合
- 発病直前の3週間におおむね120時間位上の時間外労働を行なった場合
2.「出来事」としての長時間労働
発病前の1か月から3か月の長時間労働を出来事として評価します。
【「強」になる例】
- 発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行なった場合
- 発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行なった場合
3.他の出来事と関連した長時間労働
- 出来事が発生した前や後に恒常的な長時間労働(月100時間程度の時間外労働)があった場合、心理的負荷の強度を修正する要素として評価します。
【「強」になる例】
- 転勤して新たな業務に従事し、その後月100時間程度の時間外労働を行なった場合
-
- ※上記の時間外労働時間数は目安であり、この基準に至らない場合でも心理的負荷を「強」と判断することがあります。
- ※ここでの「時間外労働」は、週40時間を越える労働時間をいいます。
精神障害の労災認定フローチャート
労災認定事例
実際に労災認定がされた方の事例を見てみましょう!
より詳しく知りたい方へ
厚生労働省のパンフレットを参照にして、今回の記事を書いたのですが、より詳しく知りたい方は、実際に厚生労働省のパンフレットを見て下さい。
より詳しく知りたい方はこちら → 「精神障害の労災認定(厚生労働省HP)」
今回はここまでにします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
追記
私は、2015年に労災申請をしました。
そのときのことを記事にしています。
参考になれば幸いです。
労災申請を検討している方は、ぜひご覧ください。