会社が勝手に給料を下げれるのか?
会社が勝手に給料を減らしてくる場合がありますが、勝手に減らして良いのでしょうか?
前回、労働契約に関しての記事を書きましたが、その続きです。
契約というものは、一方的な都合で勝手に変えることは出来ません
前回、「労働契約について」という記事にも書きましたが、働くということは、会社と労働者が合意して労働契約を結ぶ訳です。
契約ですから、一方の都合で勝手に変更することは出来ません。
ましてや立場の弱い労働者が不利になるような変更は合理的な理由がない限り認められていません。
契約という名のものは、勝手に一方の都合で変更することは出来ません。
賃貸契約などでも何の通知もなくいきなり家賃がいつもより多く引き落とされていたら揉めますよね。
しかし、ブラック企業では何の通知もなく、「気に入らない」という理由だけで給料が減らされることもあります。
そういったことは許されるのでしょうか?
労働契約の基本ルール
労働契約は、以下のような基本ルールがあります。
- 労働契約の締結や変更にあたっては、労使の対等の立場における合意によるのが原則です。
- 労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、均衡を考慮することが重要です。
- 労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、仕事と生活の調和に配慮することが重要です。
- 労働者と使用者は、信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはなりません。
- 使用者は、労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにしましょう。
- 労働者と使用者は、労働契約の内容について、出来る限り書面で確認しましょう。
法律では、立場の弱い労働者が守られていて、労働契約に関しても対等な立場で合意することを原則としています。
つまり、労働契約に変更がある場合は、お互いに歩み寄って話し合うことが大事なのです。
会社の都合もあって、利益が出ていないなどの理由で給料を下げないといけないこともあるでしょう。
そういった場合でも会社が事情を説明して、労働者に理解してもらった上で変更することが大事です。
会社が一方的に勝手に給料を下げてはいけません
ブラック企業では、何の説明もなく「気に入らない」という理由で勝手に給料を減らしてくることがあります。
もちろん、許される行為ではありません。
しかし、残念ながら、不景気な世の中ですから頻繁に起きています。
例えば、あらかじめ変更した労働契約書などを用意した上で、労働者を個室に呼び、「この契約書に判子を押さないのであれば辞めてもらうしかないね!」などと脅して、半ば強制的に判子を押させることがあります。
そういった目にあったとしても、納得が出来ないのであれば、絶対に判子を押してはいけません。
押してしまったら、合意したことになります。
「脅されて判子を押すのを強要された。」という理由で撤回することは出来ない訳ではありませんが、判子を押してしまった場合、撤回するのは困難ですしかなり苦労します。
また会社に強要されたことを証明するのも難しいので絶対に判子は押さないようにしましょう。
個室に呼ばれたときは録音することが役に立ちます。
録音するのは、状況的に難しいこともあるかもしれませんが、いつでも録音することが出来るように普段から準備しておきましょう。
録音に関しての記事は、こちらをご覧ください。
ICレコーダーを活用する
職場での録音について書いています。
強要されても判子は押してはいけません
会社に判子を強要されて、きっぱりと断るのが難しい方も多いと思います。
応じる気はないと意思表示はしておいた方が良いと思いますが、どうしても言えないのであれば、「考えさせて下さい」と言ってその場を去った方が良いでしょう。
不利益な変更をされた労働契約書が用意されていたのであれば、「よく考えたいので持ち帰りたい」と言って借りて、コピーしておきましょう。
ブラック企業では、個室に呼んで考える時間を与えないで、その場で答えを出さすようにして、精神的に追い詰めてくることがあります。
脅して、怖がらせて、考える時間もないうちに判子を押させる作戦なんでしょうね。
そんな作戦に負けてはいけません。
あと、何の説明もないまま、もう勝手に減額されて振込まれている場合もあるでしょう。
そういった場合は、給料明細や通帳のコピーなど、証拠になるものは残しておくようにしましょう。
そして、担当者に理由を聞きに行くなどして、その理由、どんな対応をされたか記録として残しておきましょう。
騙されないように気を付けましょう
労働者が働いていく中では、賃金や労働時間などの労働条件が変わることも少なくありません。
不景気な世の中ですので、会社としてもどうしても給料を減らさないとやっていけないということもあるでしょう。
こういうこともあるので、会社と労働者の日頃からの信頼関係が大事になってきます。
労働条件の変更をめぐってトラブルにならないように会社と労働者で十分に話し合うことが大切です。
会社、労働者ともに信頼関係が構築されていれば、歩み寄ることも出来ますし、トラブルになる可能性は減ります。
しかし、会社がパワハラや嫌がらせをしているのであれば、信頼関係は無くなっていきます。
会社は、日頃から従業員と信頼関係を作っておくことが大事です。
会社と労働者が話し合って、合意したのであれば労働契約を変更することは出来ます。
しかし、合意もしていないのに勝手に労働契約を変更することは出来ません。
勝手に変更された場合に会社に騙されないように注意して下さいね。
今回は、ここまでにします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
【次回】
勝手に給料を下げてくる会社があるようですが、気を付けて下さいね。
次回は、残業についての話を書いていきます。
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